新しい気候の科学 - 戦争と天気予報

気候についての学問がどのように発展してきたのかについてドキュメンタリー風に書かれている。天気予報という職人芸的な行いから、物理学や化学などの理論を用いて行うモデル科学へどのように発展したのか。

その原因の1つとして、戦争によって天気予報の精度の向上が求められたり、これまた戦争の中で生まれた計算機の誕生があるように感じた。この分野を開いた一人として、NCAR(米国国立大気研究センター)の所長でもあり、設立者でもあるウォルター・ロバーツがいるが、彼もまた軍事活動を行っていたようである。本章では、彼を中心にストーリーが組み立てられている。

気候科学では、方法論が最も興味深い。科学者が自分の頭の中でモデル化をし、計算機上でそれを組み立てる。最後に、現実の現象と、自分の着想がどのように異なっているのかを調べる。これは、測定して、追試を行い、結果を発表する古いやり方とは異なる。

また、気候が学際分野であることも見逃せない。いくつもの専門分野の専門家を集め、海から氷から大気まで、いづれも目を通さなくてはならない。問題を解くためには、あらゆる知識が必要となる。

これは、所謂文系における「情報」や「国際」という学際分野にとっても、何か参考になるかもしれない。

新しい気候の科学

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